サイバーセキュリティと情報セキュリティの違いとは?定義・対象範囲・対策の違いをわかりやすく解説

近年、ランサムウェアによる被害やフィッシング詐欺の巧妙化など、企業を取り巻くセキュリティリスクは深刻さを増しています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも、ランサム攻撃が5年連続で1位を維持しており、組織的な対策の必要性がますます高まっている状況です。

\あらゆる業界のDX化をおまかせください!/

お問い合わせ
目次

近年、ランサムウェアによる被害やフィッシング詐欺の巧妙化など、企業を取り巻くセキュリティリスクは深刻さを増しています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも、ランサム攻撃が5年連続で1位を維持しており、組織的な対策の必要性がますます高まっている状況です。

セキュリティ対策を検討する際、「サイバーセキュリティ」と「情報セキュリティ」という2つの用語が登場しますが、これらの違いを正しく理解していない担当者も少なくありません。両者の違いを把握しなければ、対策の範囲や優先順位を適切に設定できない可能性があります。

**本記事では、サイバーセキュリティと情報セキュリティの定義・対象範囲・対策アプローチの違いから、企業が知っておくべきサイバー攻撃の種類、具体的なセキュリティ対策まで解説します。**自社のセキュリティ体制を見直す際の参考にしてください。

サイバーセキュリティ・情報セキュリティとは

サイバーセキュリティと情報セキュリティは、いずれも組織の情報資産を守るための概念です。情報セキュリティは「情報の機密性・完全性・可用性を維持すること」と定義され、JIS Q 27002(ISO/IEC 27002)を基準とした管理体制が広く採用されています。対象にはデジタルデータだけでなく、紙の文書や口頭での情報伝達なども含まれる点が特徴です。

サイバーセキュリティは、2014年11月に成立した「サイバーセキュリティ基本法」の第二条において、「電磁的方式において、情報の機密性・完全性・可用性が維持・管理されていること」と定義されています。サイバーセキュリティは主にネットワークやコンピュータシステムといったデジタル空間における脅威からの保護に焦点を当てた概念であり、不正アクセスやマルウェア感染への対処が中心となります。

両者は「情報を守る」という目的を共有していますが、保護の対象範囲やアプローチに明確な違いがあります。企業がセキュリティ戦略を立案する際には、この違いを正しく理解したうえで対策を検討する必要があります。

サイバーセキュリティと情報セキュリティの違い

サイバーセキュリティと情報セキュリティは混同されやすい概念ですが、対象範囲、想定する脅威、対策アプローチにおいて明確な違いがあり、両者の関係性を正しく理解することが効果的なセキュリティ戦略の基盤となります。ここでは、4つの観点から違いを整理します。

  • 対象範囲の違い
  • 想定する脅威の違い
  • 対策アプローチの違い
  • 両者の関係性

対象範囲の違い

情報セキュリティの対象範囲は、デジタル・非デジタルを問わずあらゆる情報資産に及びます。電子データはもちろん、紙の文書、ホワイトボードに書かれた会議メモ、従業員の頭の中にある機密情報まで、すべてが保護の対象です。

一方で、サイバーセキュリティの対象範囲は、ネットワークやシステムなどデジタル空間に限定されます。サーバ、パソコン、クラウド環境、IoTデバイスなど、電子的に処理・保管されるデータやそれを扱うシステムの保護が中心です。

企業が保護すべき情報資産を洗い出す際には、デジタル領域だけに注目するのではなく、紙媒体や物理的な記録媒体も含めた包括的な視点が求められます。

想定する脅威の違い

サイバーセキュリティが想定する脅威は、ハッキング、マルウェア感染、フィッシング詐欺、DDoS攻撃など、インターネットやネットワークを経由して発生するサイバー攻撃が中心となります。とくに近年は、VPN機器の脆弱性を悪用したランサムウェア攻撃や、AIを活用した巧妙なフィッシングメールが急増しており、技術的な脅威への対応力が問われています。

情報セキュリティが想定する脅威は、サイバー攻撃に加えて、物理的な盗難、紛失、内部不正、誤操作による情報漏えいなど、より広範な範囲に及びます。機密書類の紛失やUSBメモリの置き忘れなども、情報セキュリティ上の重大な脅威に含まれます。

効果的な対策を講じるためには、自社が直面する脅威をデジタル・非デジタルの両面から網羅的に洗い出すことが重要です。

対策アプローチの違い

サイバーセキュリティの対策は、ファイアウォール、EDR(Endpoint Detection and Response)、ウイルス対策ソフト、侵入検知システムなどの技術的手段に比重を置く傾向があります。ネットワーク監視やログ分析、脆弱性診断といった技術的なアプローチを組み合わせることで、サイバー空間からの脅威に対抗する体制を構築します。

情報セキュリティの対策は、技術的手段だけでなく、セキュリティポリシーの策定、アクセス制御の設計、従業員教育、物理的なセキュリティ管理など、組織全体にわたる総合的なアプローチを採用します。情報資産の棚卸しやリスク評価を基盤としたマネジメント体制の構築が不可欠です。

実効性の高いセキュリティ体制を築くためには、技術的対策と組織的対策の両輪で推進する視点が求められます。

比較項目 情報セキュリティ サイバーセキュリティ
対象範囲 デジタル・非デジタルを含む全情報資産 デジタル空間に限定(ネットワーク、システム等)
想定する脅威 サイバー攻撃、物理的盗難、内部不正、誤操作など ハッキング、マルウェア、フィッシング等のサイバー攻撃
対策の重点 ポリシー策定、リスク管理、教育、物理的管理を含む総合対策 ファイアウォール、EDR等の技術的対策が中心
基準・法律 JIS Q 27002(ISO/IEC 27002) サイバーセキュリティ基本法(2014年成立)

両者の関係性

サイバーセキュリティと情報セキュリティは対立する概念ではなく、相互に補完し合う関係にあります。国際標準規格ISO/IEC 27032では、サイバーセキュリティは情報セキュリティの一部として包含される関係と位置付けられており、情報セキュリティという大きな枠組みの中にサイバーセキュリティが含まれるイメージが適切です。

たとえば、情報漏えいを防ぐためには、情報の管理体制を整える(情報セキュリティ)と同時に、ネットワークへの不正侵入を防ぐ(サイバーセキュリティ)必要があります。逆に、サイバー攻撃による被害を最小限に抑えるためには、事前の情報資産の把握と適切な管理体制が基盤として欠かせません。

企業がセキュリティ対策を推進する際は、情報セキュリティとサイバーセキュリティを別々に扱うのではなく、両方を統合した包括的なアプローチで取り組むことが重要です。

企業が知っておくべきサイバー攻撃の主な種類

サイバー攻撃の手口は年々巧妙化・多様化しており、企業規模や業種を問わずあらゆる組織が標的となり得る状況です。ここでは、企業がとくに警戒すべき4つの攻撃カテゴリを紹介します。

  • マルウェア・ランサムウェア
  • フィッシング詐欺・標的型攻撃
  • 不正アクセス・脆弱性の悪用
  • 内部不正・情報の持ち出し

マルウェア・ランサムウェア

マルウェアとは、コンピュータに被害をもたらす悪意のあるソフトウェアの総称であり、ウイルス、ワーム、スパイウェア、トロイの木馬などが含まれます。中でもランサムウェアは、感染したシステムのデータを暗号化し、復号と引き換えに身代金を要求する攻撃手法で、2025年現在も企業にとって最大の脅威となっています。

警察庁の調査によると、ランサムウェアの感染経路はVPN機器経由とリモートデスクトップ経由が全体の約83%を占めており、リモートワーク環境が主要な攻撃対象となっている実態が明らかになっています。さらに近年は、データの暗号化に加えて窃取した情報の公開をも脅迫材料とする「二重恐喝」の手口が主流化しています。

ランサムウェアへの対策には、VPN機器の脆弱性管理、多要素認証の導入、バックアップ体制の整備、そしてインシデント発生時の事業継続計画(BCP)の策定が不可欠です。

フィッシング詐欺・標的型攻撃

フィッシング詐欺は、銀行やクレジットカード会社、公共機関などを装った偽のメールやWebサイトを通じて、ログイン情報やクレジットカード番号などの機密情報を窃取する攻撃手法です。2025年のランサムウェア攻撃における主要な侵入経路のうち、フィッシングが約45%を占めるという調査結果もあり、サイバー攻撃の入り口として最も警戒すべき手口の一つです。

標的型攻撃は、特定の企業や組織を狙い撃ちにする手法で、入念に設計されたフィッシングメールを使って従業員のアカウント情報を窃取し、社内ネットワークへ侵入するケースが多く報告されています。攻撃者が事前にターゲット企業の情報を調査したうえで攻撃を仕掛けるため、一般的な迷惑メールフィルタでは検知が困難です。

対策としては、不審なメールやURLを開かないよう従業員教育を徹底するとともに、メールセキュリティ製品の導入や、多要素認証によるアカウント保護が有効です。

不正アクセス・脆弱性の悪用

不正アクセスは、正規の権限をもたない第三者がシステムやネットワークに侵入する行為であり、認証情報の窃取や脆弱性の悪用がおもな手口です。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、システムの脆弱性を突いた攻撃が3位にランクインしており、ゼロデイ攻撃やNデイ攻撃(修正プログラム公開後に未適用のシステムを狙う攻撃)の脅威が高まっています。

VPN機器やWebアプリケーションの脆弱性を放置したまま運用している企業は、攻撃者にとって格好の標的となります。2025年に公表された国内セキュリティインシデントでも、「公開サーバへの攻撃」や「不正ログイン」が上位を占めている状況です。

脆弱性への対処として、セキュリティパッチの迅速な適用、定期的な脆弱性診断の実施、そしてアクセス権限の最小化を徹底する必要があります。

内部不正・情報の持ち出し

内部不正とは、組織内の従業員や委託先スタッフが意図的に機密情報を持ち出したり、アクセス権限を不正に利用したりする行為を指します。IPAの10大脅威ランキングでは内部不正による情報漏えいが10年連続で選出されており、外部からの攻撃と並んで深刻な脅威として認識されています。

内部不正の要因には、従業員の不満、退職前の情報持ち出し、セキュリティ意識の欠如、IT管理部門が許可していないクラウドサービスの無断利用(シャドーIT)などが挙げられます。悪意がなくても、セキュリティルールへの理解が不十分な場合に意図せず情報漏えいが発生するケースも少なくありません。

内部不正への対策としては、アクセス権限の適切な管理、操作ログの監視、退職者のアカウントの速やかな無効化に加え、従業員への定期的なセキュリティ教育が求められます。

企業が実施すべきセキュリティ対策

サイバー攻撃の手口が高度化する中、企業が実効性のあるセキュリティ体制を構築するためには、技術的対策と組織的対策の両面から包括的に取り組むことが重要であり、一度整備した対策も定期的に見直し改善し続ける姿勢が不可欠です。ここでは、企業が優先的に取り組むべき4つのセキュリティ対策を解説します。

  • 情報セキュリティポリシーの策定とアクセス制御
  • 従業員教育とセキュリティ意識の向上
  • ファイアウォール・EDRなど技術的対策の導入
  • インシデント対応計画の策定と定期的な見直し

情報セキュリティポリシーの策定とアクセス制御

情報セキュリティポリシーは、組織が情報資産をどのように管理・保護するかを定めた基本方針であり、すべてのセキュリティ対策の土台となるものです。

ポリシーには、情報資産の分類基準、アクセス権限の付与ルール、インシデント発生時の報告・対応フロー、外部委託先への管理要件などを明文化し、全従業員に周知徹底する必要があります。

アクセス制御においては、「最小権限の原則」に基づき、業務に必要な最低限のアクセス権限のみを付与することが基本です。加えて、多要素認証(MFA)の導入により、パスワードが漏えいした場合でも不正アクセスを防止できる仕組みを構築することが重要です。

セキュリティポリシーは策定して終わりではなく、事業環境やIT環境の変化に合わせて定期的に見直し、実態に即した内容へ更新し続ける必要があります。

従業員教育とセキュリティ意識の向上

セキュリティ対策の実効性を高めるうえで、従業員一人ひとりのセキュリティ意識は極めて重要な要素です。フィッシングメールの見分け方、不審なURLやファイルへの対処法、パスワード管理の基本ルールなど、日常業務に直結するセキュリティ知識を定期的な研修やeラーニングを通じて教育することが効果的です。

とくにフィッシング詐欺は「人」の判断ミスを突く攻撃手法であるため、技術的な防御だけでは限界があります。模擬フィッシングメールの送信訓練を実施し、従業員の対応力を実践的に高める取り組みも有効な手段の一つです。

経営層が率先してセキュリティ対策の重要性を発信し、組織全体にセキュリティ文化を根付かせることが、持続的なセキュリティ体制の維持につながります。

ファイアウォール・EDRなど技術的対策の導入

サイバー攻撃から組織を守るためには、多層的な技術的対策の導入が不可欠です。ファイアウォールによるネットワーク境界の防御、EDR(Endpoint Detection and Response)によるエンドポイントの監視・対応、ウイルス対策ソフトによるマルウェア検知など、複数の技術を組み合わせた「多層防御」の考え方が基本となります。

加えて、VPN機器やWebアプリケーションの脆弱性を定期的に診断し、セキュリティパッチを速やかに適用する体制も欠かせません。クラウドサービスの利用が拡大する中では、クラウド環境のアクセス制御や暗号化設定の見直しも重要な対策項目です。

技術的対策の導入にあたっては、自社のIT環境や事業特性を踏まえて適切なツールを選定し、導入後も運用状況を継続的にモニタリングする体制を整える必要があります。

インシデント対応計画の策定と定期的な見直し

セキュリティインシデントはどれほど対策を講じても完全には防げないため、インシデント発生時に被害を最小限に抑えるための対応計画を事前に策定しておくことが重要です。対応計画には、初動対応の手順、関係部署への連絡フロー、外部専門機関との連携方法、顧客や取引先への通知基準、復旧手順などを具体的に定めます。

とくにランサムウェア攻撃への備えとしては、バックアップデータの保全と復元手順の確認が不可欠です。バックアップが暗号化されてしまうケースも報告されているため、バックアップの保管場所やアクセス権限の設計にも注意を払う必要があります。

対応計画は策定するだけではなく、定期的な訓練やシミュレーションを通じて実効性を検証し、新たな脅威や組織体制の変化に合わせて継続的に改善していくことが、レジリエンスの高い組織づくりにつながります。

セキュリティを考慮したシステム開発はブライセンにご相談ください

セキュリティ対策は、システム開発の段階から組み込むことで高い効果を発揮します。開発後に後付けで対策を追加するよりも、設計・開発フェーズからセキュリティ要件を反映した「セキュリティ・バイ・デザイン」のアプローチを採用することで、脆弱性のリスクを大幅に低減可能です。

株式会社ブライセンは、1986年の創業以来40年以上にわたるシステム開発実績をもち、セキュリティと品質管理を重視した開発体制を構築しています。海外子会社のブライセンベトナムではISMS(ISO27001)およびISO9001認証を取得しており、オフショア開発においても国際基準に準拠した管理体制を整備しています。日本・ベトナム・ミャンマー・カンボジア・韓国の5カ国に拠点をもつグローバル開発ネットワークを活かし、コスト効率と高品質を両立したシステム開発を提供可能です。

業務系システム、Webアプリケーション、組込みシステムなど幅広い領域で40年以上の開発実績をもち、セキュリティを考慮した設計・開発から運用・保守まで一貫して対応します。セキュリティ体制の強化を含むシステム開発をご検討の際は、ぜひブライセンにお問い合わせください。

まとめ

サイバーセキュリティと情報セキュリティは、いずれも組織の情報資産を守るための重要な概念です。情報セキュリティはデジタル・非デジタルを問わず全情報資産を対象とする包括的な枠組みであり、サイバーセキュリティはその中でデジタル空間における脅威への対処に特化した領域として位置付けられます。

企業を取り巻くサイバー攻撃は、ランサムウェアやフィッシング詐欺を中心に深刻さを増しています。セキュリティ対策は一度整備すれば完了するものではなく、新たな脅威や事業環境の変化に合わせて継続的に見直し、改善し続ける姿勢が求められます。本記事で紹介した内容を参考に、自社のセキュリティ体制を改めて点検し、必要な対策を速やかに講じていきましょう。

\あらゆる業界のDX化をおまかせください!/

お問い合わせ

あらゆる業界のDX化を
おまかせください!

課題発掘からシステム開発・運用まで
専門スタッフが回答いたします。
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
お問い合わせ